ルドルフ・シュタイナー（Rudolf Steiner, 1861-1925）は、現在のクロアチアで誕生しました。生後まもなくして両親とオーストリアへ移住します。鉄道電信オペレーターとして働く父は強い意見の持ち主で、シュタイナーは村の学校と家庭で初等教育を受けました。
その後、精神世界や物質世界の概念について興味をもち、ロストック大学で博士号を取得しました。在学中から文学と哲学に関する著書を出版し、『自由の哲学』『ゲーテ的世界観の認識論要綱』などの著作がありました。
そして20世紀初頭、アントロポゾフィー（人智学）という精神運動を立ち上げます。ドイツの科学的哲学と神智学をルーツとするこの考え方は、人間の肉体・精神・霊を周囲の世界とつながりをもつ統合的存在として捉えていました。
当初、アントロポゾフィーの運動はより哲学的な意味合いをもっていました。シュタイナーは科学と神秘性の間に統合性を見出そうと、精神科学と定義づけ、西洋哲学の特性を神秘性の問題に適用する探求を行いました。
1907年頃になると、芸術をはじめとした様々な分野の研究に着手しはじめます。演劇のほか、新たに生み出されたオイリュトミーのような運動芸術、ゲーテアヌムという建築物も誕生しました。さらに、シュタイナー教育、バイオダイナミック有機栽培農法、アントロポゾフィー医学などの、より実践的な研究方針の確立に努めました。
シュタイナーの出生図から、彼の魂が備えていた特性を見てみたいと思います。
北と西に半球の強調が見られます。人生初期の家庭環境における未解決の案件は、独特な個性を発揮しながら、社会的な成果を上げることや、社会的な改革においてリーダーシップを取ろうとする傾向を作るかもしれません。
他者や物事の本質に迫り、存在の内部に同化し理解する力（透視能力）や優れた直感力（太陽 魚座 ４ハウス）を持つと同時に、正確さを追求し現実的に完成することへの意欲と厳格さへの傾向（月 乙女座 １０ハウス）が見られます。
４ハウスにある太陽と１０ハウスにある土星は、タイトな角度で向き合い、７ハウスにある天王星とTスクエアを形成しています。リーダーシップを発揮し、旧来の価値を認めつつも、変化への必要性を感じ、辛抱強く革新に取り組む決意となって現れています。
牡牛座の冥王星と火星がAC軸と重なり、とても強い行動力や欲求を示しています。このアスペクトは、欲求を満たすための爆発的なエネルギーを示唆し、剛胆さや不敵さという資質になり得ます。コツコツと自分の力で成功を収める経験を重ねるにつれ、行動力と自信が増していくようです。
魚座の水星と海王星が重なっていることから、水星の知性やコミュニケーション能力に創造性や想像力が加わります。見えないものについて伝える才能や姿勢となって現れています。
シュタイナーは、当時の自然科学に代表される厳格な自然科学的思考法への取り組みを行いました。また五感を超えた高次の感覚（超感覚的認識）によって事物の本性を把握することができるという透視能力を活かし、それによって得た超感覚的世界の実相に基づいて人智学を創始し、人類の霊的向上を促そうと啓蒙活動を行ってきたことが彼のホロスコープから伺えるように思います。
