古代エジプトでは、香はとても重要でした。日の出、正午、日没と、1日3回、場の浄化・心身の浄化のために異なる香りが焚かれていました。日の出は、太陽神(ラー)に、毎日太陽が東から変わりなく登って来られるように祈りを込めて、乳香(フランキンセンス)を。正午には、太陽神(ラー)に再生の祈りを込めて、ミルラ(没薬)を。日没には、聖なる香りで邪悪なものが寝室に侵入しないように浄化し、心地よい眠りに誘うキフィを焚いていたようです。
キフィとは?
キフィは、古代エジプトで神々への供物として焚かれた特別な薫香、 「聖なる煙」・「神々を迎える香」です。16種類の植物性香料などから作られ、神官たちが聖典を読み上げながら調合したそうです。夜になると、神殿でキフィの煙がゆっくりと立ち上り、心と身体を鎮め、夢の世界へと誘ったと伝えられています。
この香りは、単なるお香ではなく、「浄化」「癒し」「意識の拡張」をもたらす神聖なもの。 クレオパトラをはじめとする王族たちも愛し、祈りや瞑想の時間に欠かせない存在でした。
キフィの香り ー 魂を癒す旅
キフィのレシピは時代とともに変化していますが、 基本となるのは、
- ミルラやフランキンセンス(心を静め、神聖な空間を生み出す)
- ハチミツやワイン(甘さと深みを加え、時間をかけて熟成)
- シナモンやジンジャー(温かみのあるスパイシーさ)
これらの素材が絶妙に調和し、甘くスパイシーで奥深い香りを生み出します。 まるで遠い記憶の扉を開くように、懐かしさと安心感に包まれる香り。
新月の夜にキフィを焚く
キフィは、日没後、夜に焚くのがふさわしい香。
夜にそっと火を灯し、ゆっくりと立ち上る煙とともに、 「これから迎えたい未来」に思いを馳せてみませんか?
香りが、心の奥に眠る願いをそっと呼び覚まし、 本来の自分に還る時間をもたらしてくれるでしょう。
キフィを作る ー 香りの魔法を手仕事で
私は今、古代のレシピをもとに、キフィ作りをしています。


材料を一つひとつ選び、丁寧に混ぜ、時間をかけて熟成させる。
その過程は、まるで「香りの錬金術」。
小瓶には、蜜蝋粘土でお花の飾りをつけて、ときめきプラス。
少しずつ変化していく香りと向き合いながら、 キフィが持つ神秘の力を感じています。
キフィのレシピ
キフィのレシピは多くのバリエーションがありますが、基本の材料は次のようになります。
材料:
- レーズン 2g
- ジュニパー 2g
- ベンゾイン (安息香)2g
- カラマス(菖蒲の根)2g
- ヘンナ 2g
- 乳香(フランキンセンス)2g
- 陳皮 2g
- レモングラス 2g
- ベイリーフ 2g
- ミルラ(没薬) 2g
- イリスルート(匂い菖蒲)2g
- ペパーミント 2g
- 生姜 2g
- シナモン 2g
- ハチミツ 小さじ1〜
- 白ワイン 小さじ1〜
- 小瓶
- すり鉢
- マドラー
作り方:
- 1日目:清潔な小瓶を用意し、新月の日に、レーズンをすり鉢に移し、擦ってから白ワイン小さじ1くらい加えよく混ぜ、瓶に入れて、しっかり蓋をする。
- 2日目:1日目の瓶に、蜂蜜を(小さじ1/2位)加え、よく混ぜる。
- 3日目以降:好みの材料を1日1種類づつ、丁寧にすりつぶし、瓶に加え、その都度よくかき混ぜる。(硬いようであれば、ワインや蜂蜜を少量追加し、好みの硬さに調節する)
- 作りかけてから最初の満月の日に香りを確かめる。
- 出来上がったばかりのキフィの香は、少しきつい感じですが、時間が経過するほど深みのある香りに変化していきます。香りの変化をお楽しみください。
* 全て混ぜ合わせたら香りを確認してから瓶の蓋を閉めて二週間くらい香りを熟成させてください。熟成させることで香りが深まり、より豊かな香りを楽しめるようになります。
* より効果を高めるには、新月の日から混ぜ始め、満月の日に完成させると良いようです。願い事も一緒に入れましょう。
あなたの魂を癒す香りとして
この香りがあなたの心に響いたなら、 ぜひ一緒に、キフィの世界を感じてみませんか?
夜の静寂の中で、そっと香を焚きながら、 あなたの内なる宇宙とつながる時間を持ち、香りの魔法が、あなたのもとへ届きますように。
